今回は、競合他社との差別化を図る上で重要となるマーケティング戦略について書いていきます。

この記事を最後まで読むことによって
・競合他社との差別化を図る上でやってしまいがちな誤った認識
・競合他社との差別化における非常に有効な考え方
を理解することができるようになります。

これにより、自分でビジネスをする上で、自分の首をどんどん絞めていくだけの不毛な価格競争に巻き込まれることもなくなり、自分の独自のポジションを作り上げて差別化を図ることができるようになりますので、ぜひ参考にしてほしいと思います。

それでは、まずは過去の記事で記した、こちらのココアの広告文を見てみて下さい。(ココアの広告文はこちら⇒「購買意欲を掻き立てるために必要な言葉とは?欲望・恐怖の感情の源泉」)

リンク先の過去記事では、その広告文を用いてコピーライティングにおける重要なポイントを解説しました。ただ、実はその広告にはマーケティングでの重要な視点も反映されており、ここに競合他社との「究極の差別化」の視点が盛り込まれているのです。

以下、それを詳しく解説していきますので、まずはリンク先の文章を確認した上で、以下を読み進めてもらえればと思います。


競合他社との差別化における過ち



ホットココアを販売する店舗で売上をあげようとする際、第一に重要になってくるのが「他店との差別化」です。お客さんが自分の店を選んでくれるよう、他店にはない強みを提示して差別化を図る必要がでてきます。

ただ、この差別化ということを考える上で、多くの人がやってしまいがちな過ちというものがあります。

その過ちとは、ホットココアという「商品のみ」を売りにするということです。

店舗での売上をあげる際、販売する商品の良さ(機能や効果)を一生懸命説明するという人はかなり多いと思います。もちろん、その商品の性質を説明することは重要なことではあります。ただ、それだけだと、その商品によほどの特徴がない限りは結局他店と同じ広告になってしまうことが多いです。

上で提示したココアの広告文でも「ペルー産の厳選された上質なカカオから作られた」というココアの性質を説明してはいます。ただ、正直この程度の性質であれば、他の店でも売りにしているところはたくさんあるのです。

したがって、その商品自体の良さ“だけ”をアピールするのでは、他店との差別化を図ることはできません。これでは、多くの店の中で自分の店が選ばれる理由がなくなってしまうのです。

では、どのような点に着目して差別化を図るべきなのでしょうか?


差別化のポイントは「モノ」ではなく「快適な空間」



それは「商品がいかに良いモノか」をアピールするのではなく「なぜその店に行くべきなのか」を明確に打ち出すことです。商品の特長ではなく、その店に行くことでしか得られないベネフィットをしっかり伝えるのです。

販売しているものはココアという「商品」でも、その商品を提供する店が醸し出す「雰囲気」に魅力を持たせれば、その店独自のオリジナリティを構築することができます。販売している商品自体は他店とさほど変わらないものでも、その商品を含む「居心地の良い快適な空間」を売りにすれば、そこで差別化ができるのです。

先の広告文でいうと、
・「照明を抑えたシックでこじんまりとした空間」
・「優しく流れる音楽・シューベルトのアヴェ・マリア」
・「独特の質感のある革製のふかふかソファー」
といったオプションが疲れた体を癒すのには最適の空間だと感じる人は多いと思います。

こういったオプションが大きな付加価値となり、その店でココアを飲むことの魅力を一層引き立てるのです。冷えた体を温めると共に、聴覚を含む身体感覚を通じて疲れた体を癒してくれる、まさにこの広告は「その店でしか体験できないもの」を謳っているのです。

「モノ」ではなく「快適な空間」を提供する、これによってライバル不在の地位を獲得できるのです。他者と同一直線上で勝負をしない、これが差別化の最大のポイントです。


差別化を図ったマーケティングのもう一つの例



「商品そのものの価値」ではなく「商品の価値を一層引き立てる付加価値」

これは全てのビジネス分野で通用する普遍的な視点です。もう一つわかりやすい例として「書店」を取り上げてみましょう。

書店というのは(当たり前ですが)本を販売している店です。そしてこの書店の性質として、書店Aで売っている本というのは、たいていは書店Bでも同じものを売っているという現状があります。もちろん、書店Cでも書店Dでも、同じものを商品として揃えていることが多いです。

したがって書店というのは、本という「モノ」を売っているという側面だけを切り取れば、ライバルである他の書店との差別化が全くできていません。この場合、顧客からしてみれば、A店・B店・C店・D店、どこで買っても同じなわけです。

そのような状況では、顧客が自分の店で買ってくれる理由などありません。定価も決まっているので、値段を安くして価格面で差別化を図るということもできません(仮に価格を安くできたとしてもそれはやるべきではありませんが)

そこで、賢い書店はどうするのかというと、本を売るのではなく「本屋を売る」という発想を持つのです。本という「モノ」を売るのではなく、その本屋(書店)独特の「世界観」を創り出し、他店では味わうことのできないオリジナルな空間を演出するのです。

例えば、ビールを片手に本を読むことができる書店や、定期的なイベントを行って人を集めている書店は実際にあります。こういった店は、自分たちにしか生み出せない快適な場を提供し、顧客はそこでの体験価値を享受しているのです。

このようにすることで、他の書店にはないものが生まれます。そしてそこの空間が気に入った顧客は「ここの本屋いいな~」「また来たいな~」と思うようになるのです。

このように、競合他社との差別化を図る究極の方法は「モノを売りにする」というレールから外れて「独自の世界観・快適な空間を提供する」ということなのです。