今回はコピーライティングで重要なことを一つ紹介しておきましょう。

この記事を読むことによって「顧客の購買意欲を掻き立てる言葉はどんなものか」ということがわかるようになります。

そしてそれを元に、商品が売れやすい文章を意図的に書くことができるようになりますので、ぜひ参考にして欲しいと思います。

それでは、まずは具体例から入りたいと思いますので、次の広告文を見て下さい。


コピー(広告文)に施された工夫は?


今年も肌寒い季節がやって来ましたね。

夜の外の景色を眺めると、凍てつく空気で鞭打つように鼻と頬を赤くし、白い吐息を立てて肩をすくませながら歩いているサラリーマンの姿が散見されます。ロングコートのポケットに手を入れて寒さをしのぎ、足早に家路に向かっているのですね。今日も一日お仕事お疲れ様。

でも、家に着く前に、仕事で疲れ、外気に触れて冷えきったあなたの体を、当店のホットココアで癒してみませんか?

照明を抑えた、シックでこじんまりとした当店。そんな当店から優しく流れる音楽・シューベルト「アヴェ・マリア」を背景に、独特の質感のある革製のふかふかソファーにゆったりと腰をおろして下さい。そんな空間で、温かい湯気の中から甘い香りが沸き立つ当店特製のホットココアを口にすれば、あなたの疲れて冷えきった体は100%癒されます。

ペルー産の上質なカカオから作った当店のホットココア。一口飲むと、ホイップクリームの甘さとココア独特のしっとりとした深みが一瞬にして口の中全体に広がります。そしてココアの温かさが体の中心から手足の先までじわ~っとしみ込んでいき、冷えたからだが芯から温まり、仕事で一日疲れた体を内側から優しく包んでくれます。

この瞬間は当店でしか実感することのできない至福の時になるでしょう。その後は家でもゆっくりと過ごすことができ、次の日も一日仕事がはかどります。

そんな当店のココア、あなたもこの冬、仕事帰りにいかがですか?


さて、上の文章は私が適当につくったものなのですが、店でココアを飲むことのメリットが多少なりとも伝わってきたと思います。頭の中に具体的な画を思い描くことができたのではないでしょうか。

では、上の広告文には具体的にどのような点に工夫が施されているのでしょうか?以下ではそれを解説していきます。


購買意欲の源泉にあるもの



まず、人が「モノを買う」という行動を起こす時、その人には「~をしたい」という欲望や「~を避けたい」という恐怖の感情がその行動の動機となっています。「ハワイに行きたい」と思うからチケットを購入する、「赤点をとりたくない」と思うから参考書を買うというように。

そして、その欲望や恐怖の源泉には「想像・イメージ」というものがあります。ハワイに行くことによって得られるメリットや赤点をとることで被るデメリットを「想像」するからこそ、そういった感情が芽生えてくるのです。

例えば「ハワイに行きたい」と思う時、その人の脳内には、ハワイの雲一つない青い空・輝く太陽に照らされた透き通った海・パラソルの下でデッキチェアに腰かけながらトロピカルジュースを飲む姿などが映し出されているはずです。そういった画が想像できるからこそ、行きたいという欲望が生まれてくるのです。

したがって、人の行動を動機となる欲望や恐怖を喚起するためには、その人の頭にどれだけ具体的なイメージがわいてくるか(どれだけ具体的に想像できるか)ということが重要になってくることになります。

広告の中に盛り込まれた表現によって、自分が享受できるものの具体的なイメージが頭の中でどんどん鮮明になり、それによって脳細胞が活性化され「モノを買う」行動を起こそうとする力が強まるのです。


購買意欲を掻き立てる言葉とは?



そして、その具体的な想像・イメージは「視覚」「聴覚」「嗅覚」「味覚」「触覚」という五感に訴える描写を用いるのが一つの効果的な手法です。

広告文の中にこれら要素を含む言葉がより多く、より具体的に示されていれば、その分読み手の脳内でイメージを再現できる度合も大きくなります。

例えば、上で提示した広告文の中には、

①「照明を抑えた、シックでこじんまりとした」(視覚)
②「優しく流れる『アヴェ・マリア』を背景に」(聴覚)
③「独特の質感のある革製のふかふかソファー」(触覚)
④「温かい湯気の中から甘い香りが沸き立つ」(嗅覚)
⑤「ホイップクリームの甘さとココア独特のしっとりとした深みが口の中…」(味覚)

といった、先の要素を含む言葉が盛り込まれています。

まず、冒頭の具体的表現で外の空気の冷たさ・寒さが頭に浮かび、その後

①で落ち着いた大人っぽい雰囲気であるという視覚的要素を喚起され、
②で自分の耳に音楽が優しく響いている様子がイメージでき、
③で柔らかいソファーでくつろげる自分の姿を想像することができ、
④でココアを顔に近づけたときに目と閉じてしまう自分が思い浮かび、
⑤の言葉で思わず自分の口の中がジーンと刺激されてしまう

さらに、そのあとの、ココアの温かさが体の中心から手足の先までじわ~っとしみ込んで…」という具体性を増した表現によって、冷えた体が癒される様子も頭の中で鮮明に描き出すことができるのです

もちろん、これ以上に頭の中に具体性を増したイメージを喚起させることも可能です。実際、③の「独特の質感」という記述は具体性に欠けた部分ですので、擬音語・擬態語や独特の表現を用いることで、より鮮明な映像を人の脳内にインストールすることが可能になります。

このように、「視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚」に訴える描写をより多く含んだ具体的表現を用いることで、人の頭の中にそのイメージを鮮明に再現させることができ、それによって人が行動に移ろうとする力も増すのです。


そして、上の例ではプラスイメージを鮮明化させる言葉を用いていますが、もちろん紹介する商品によっては、マイナスイメージ(恐怖)を人に喚起させることもできます。

例えば、扱う商品が「ダニ防止スプレー」のようなものだった場合、そのスプレーを使わないでいることによって、ウヨウヨと動くダニが人の枕の上に卵を産んでどんどん数を増やしていく、そのような気味の悪い画を脳内で再現させることができるように、先の5つの要素を盛り込んだ具体的言葉を用いればいいのです。

その広告を見ている人が、枕の上で無数のダニが動いているシーンを想像し、思わずその広告から目をそらしてしまうほど気持ちの悪いと思うような表現を用いればいいわけです。(ただ、完全に広告から目をそらされると、広告の効果もないためそのあたりはじつは難しいところかもしれません笑)

広告文を書く際の注意点として、よく「欲望や恐怖を煽ることが必要である」といった表現を見かけますが、その「欲望や恐怖を煽る」というのをより具体的に言うと「五感に訴えた描写によってプラス・マイナスの具体的なイメージをもってもらう」ということになります。参考にしてみて下さい。