レストランや居酒屋などで、店員に向かって料理を注文する時、サラダなどの前菜を注文しないでいると、大抵店員から次のように言われます。

「温かいお料理はお作りするのに少々お時間いただきますので、お作りしている間に、サラダでもいかがですか?」

これ…ホントによく言われます。しかも…実際お作りするのに大して時間かからないのに(笑)

おそらくこの店員の対応はマニュアルにあるもので「前菜を注文しない客にはそのように対応するように」と、上司から指導されているのでしょう。私は大抵「お通しがあるんでいいです」と言うことが多いですが(笑)、店側のこの対応は、売上をあげるためによく用いられるものです。

顧客に対して、こういった「合わせ買い」を推奨する手法をビジネスにおいては「クロスセル」といいます。

実際に接客をする店員は「クロスセル」なんて言葉は知らないかもしれませんが、これは顧客一人当たりからの得られる売上をあげるための典型的な手法なのです。

また、これと似たような手法に「アップセル」「ダウンセル」というものも存在します。

「クロスセル」「アップセル」「ダウンセル」

これらは全て、顧客一人あたりからの利益を上げる(下げない)ための手法で、ビジネスで長期的な売り上げを上げる上では非常に重要なものになります。

そこで今回は、この「クロスセル」「アップセル」「ダウンセル」の手法を、具体的事例を用いて詳しく解説していきましょう。


それでは、まずはこの三つの手法を簡単にまとめた次の動画をご覧ください。


以下、これについての解説を加えていきます。


クロスセルとは?



クロスセルとは、先ほどのレストランの例にも言ったように、「ご一緒にサラダもいかがですか?」という形で“合わせ買い”を促す手法です。

顧客が何か一つの商品を購入した時に「その商品と親和性の強いもの」や「その商品の弱点を補強できるもの」の購入も勧め、より売り上げをあげることを目的としたものです。

親和性の強い商品の例としては、ハンバーガーを注文した際に「ご一緒にポテトもいかがですか?」という促し方がそれに該当します。また、弱点を補える商品の例としては、靴などを購入した際に「長持ちさせるために油性のクリームもご一緒にどうですか?」と言って勧める場合などが当てはまります。

このクロスセル手法では基本的には、顧客が初めに購入(注文)した商品よりも安価な、オプションとなる位置づけの商品を勧めることになります。

そして、これが行われているのはリアルビジネスだけではありません。ネット通販の「アマゾン」や「楽天」などでも、このクロスセルは当たり前のように使われています。

以下の画像のように、一つの商品を選択すると「この商品を買った人はこんな商品も買っています」という表示が出ます。



これも、関連性の高い別の商品の購入を勧めるという点ではいわゆる「クロスセル」手法である言えます。


アップセルとは?



アップセルとは、顧客が一つの商品を購入しようとしたときに、“より価格の高い上位版の商品の購入”を勧める手法のことを言います。

私が実際にこのアップセルの手法でセールスを受けたのは、リッツ・カールトンというホテルに泊まった時です。

どの部屋も値段は高かったので、とりあえず予約時点では料金が下から二番目の部屋を予約していたのですが、当日フロントでチェックインをしようとしたら受付の人から次のように言われました。

「本日、こちらのグレードの高い部屋が特別に空いておりますので、こちらの部屋を通常の料金よりも安くご利用できますがいかがですか?」

この時「あ、アップセルだ!」と思いました(笑)値段ははっきりとは覚えていませんが、この時は一泊9万円くらいの部屋を勧められたような記憶があります(ちなみに断りましたが…)

このように、アップセルでは、顧客が購入しようと思った商品よりもグレードの高いものを勧めることで顧客単価を上げることを狙っているのです。

また上の例はサービス業の例ですが、それ以外にも「パソコンの購入を考えている客により性能の高いものを勧める」と言った形で、実際には様々な場面でアップセルは使われています。


ダウンセルとは?



ダウンセルとは、アップセルの逆で、“より価格の低い下位版の商品への移行”を勧める手法です。

「一つの商品の購入を検討したが、値段が高いために見送ろうとしている客」や「現在月額料金制で申し込んでいるサービスを解約しようとしている客」に対して、このダウンセルはよく用いられます。

例えば、あるお客さんがパソコンを買おうと店を訪れたが、「30万円もするのか~。高いな~」と値段を見て購入をためらったとします。その時、店員はその客に対して、

「こちらのお求めやすい値段のパソコンでもお客様の用途でしたら、性能としては差し支えないと思いますよ」

という言葉をかけ、グレードの低いものを勧めるのです。

店側としては、何も買ってくれないよりは、安くても買ってもらった方が売り上げは上がります。また、安い商品でもそれに顧客が満足してくれれば、後々その顧客は他の商品も買ってくれる可能性が出てくるため、結果としてリピーターとなってくれることもあるのです。