接種理論とは?説得心理学の具体例とマーケティングへの応用を解説
今回は「接種理論」という心理学用語を具体例を交えて解説します。

この記事を読むことで理解できること
◎「接種理論とは何か?」
◎「日常のどのような場面で接種理論があわられるのか?」
◎「ビジネスのマーケティングにおいてはこの接種理論がどう応用されるのか?」

日常でも馴染みのある心理学的理論なので、おそらくビジネスでの利用法を知った際にも「なるほど!」と比較的容易に実感できると思います。

それでは、まずは接種理論について簡潔にまとめた以下の動画をご覧下さい。


以下、この接種理論について詳しく解説していきます。

接種理論とは?


“接種理論”とは、人間の心理の一連の流れのことを言います。

「一度弱い反論に打ち勝つことで、その後どんなに反論されても打ち負けることのないような強い心の準備をするようになる」

このような心理の流れを“接種理論”と呼ぶのです。

おそらく「接種」という言葉を聞いて多くの人が思い浮かべるのが、「予防接種」だと思います。実は接種理論というのは、予防接種と同じ原理です。


例えばインフルエンザの予防接種では、インフルエンザにかからないようにするために、インフルエンザウイルスを弱めたバージョンのウイルス(ワクチン)を体の中に注射します。すると、体はそのワクチンを撃退します。ワクチンは非常に弱めのウイルスなので、体はそのウイルスに打ち勝つことできるのです。

そして一旦撃退すると、一度弱めのウイルスにかかった体には抗体ができるようになります。すると、その後は本物のインフルエンザウイルスにもかからないような抵抗力のついた強い体になっているのです。

この身体的な原理を、心理的な面に当てはめたのがこの“接種理論”ということになります。

一度弱めの反論をされ、それに打ち勝つことで、その後は強い反論にも負けないような強い心がになっているということですね。いわば他者からの説得に強くなるということです。

接種理論の具体例


では、もう少しイメージしやすいように接種理論の具体例を挙げておきましょう。以下の文章を読んでみてください。

高校生のAくんは、大学受験の勉強をするために個別指導の塾に通っていました。しかしある時、Aくんは隣のクラスの同級生のBくんからこんな話を持ちかけられました。

「受験をするのであれば、個別指導塾よりも、ライバルがいる環境切磋琢磨できる集団塾のほうがいいよ。うちのクラスの人も、受験する人はほとんどみんな集団塾に通ってるよ。Aくんも集団塾にしなよ」

するとAくんは、次第に不安になってきました。「もしかしたら今のまま個別指導塾に通ってたら取り残されるのかな…?本当に集団塾のほうがいいのかな…?」と何度も思うようになりました。

しかし、よくよく考えてみると、集団塾に通うBくんのクラスの人が目指すような大学というのは、自分が目指す大学とは違うということに気づきました。そしてAくんは「やっぱり僕にとっては、自分のニーズに合わせて指導してくれる個別指導塾で勉強するのがベストだ」と再確認し、それ以前にも増して一層勉強に身が入るようになったのです。

この場合、Aくんに接種理論が働いていることになります。

Aくんは、はじめに「個別指導塾に通っている」という自分の立場に対して、一旦「集団塾のほうがいい」という弱い反論を出されています。そして一瞬、不安がよぎるのです。しかし、その後よくよくと考えてみると「集団塾に通う人と自分は違う」ということがわかり、「やっぱり自分は個別指導塾のほうがいい」ということを再認識しました。

つまり、一度反論に打ち勝つことによって以前よりもまして勉強に身が入ることになったのです。

今後、同じように「こっちの塾のほうがいい」という噂(反論)を耳にしても、もうAくんの心は動じないでしょう。すでにAくんの心には説得に対する抗体がついており「自分にとっては個別指導塾がベスト」という強い信頼が出来上がっているからです。

このように、接種理論は日常での様々な場面で見ることができます。

ビジネスにおける接種理論の応用


では、ビジネスの場面ではこの接種理論がどのように応用されるのか?



これは自分が何か商品を販売する際に有効に活用することができます。

自分の商品をアピールする際、その商品の長所だけを述べるのではなく、若干の欠点といえるようなものをあえて取り上げるのです。つまりその商品を良質なものだと思ってくれている顧客に対し、あえて弱めの反論を加えるということになります。

例えば次のような感じです。

当店の商品は、確かに他店と比較して耐久性の点では劣ります。しかし、それでも平均買い替え年数の3年は持ちますし、お買め求めやすい価格の上、機能面では優れていますので、断然こちらのほうがいいですよ。

多くの販売者にとって、自分の商品の欠点まで伝えるのには抵抗があることかと思います。しかし、その欠点をはるかに凌駕するような長所がこの商品にある場合、顧客はその欠点を踏まえたうえで「それでもやっぱり、この商品は良質なものだ」と思ってくれるようになります。

これにより、顧客の心には以前にもまして、その商品に対する強固な信頼が出来上がることがあるのです。

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