ミラーニューロン効果と網様体賦活系を島田紳助を具体例に挙げて解説
今回は、脳科学の分野で話題となる「ミラーニューロン効果」と「網様体賦活系(もうようたいふかつけい)」というものを具体例を挙げながら解説します。

この記事を読むことで理解できること
◎「ミラーニューロン効果とはどのようなものか?」
◎「網様体賦活系とはどんな働きをするものか?」
◎「自分の目標を達成する上でこれらがどう有効に機能するのか?」

上記を理解することにより、より目標達成をしやすい状態を作り上げることが可能になりますのでしっかり最後まで読んでほしいと思います。

そして今回これらを説明するにあたって、よりイメージがわきやすくするために、前回の記事でも取り上げた島田紳助さんのエピソードを交えながら説明していきます。それでは、まずはこちらの動画からご覧ください。


以下、これについて詳細に解説をしていきます。

ミラーニューロン効果が現れた具体例

 ここで取り上げるのは、かつて日本テレビ系列で放送されていた『松本紳助』という番組で紳助さんが語っていたエピソードです

今現在、紳助さんは「魚をさばく」ことが出来るらしく、その腕前は昔「料理の鉄人」という番組の出演依頼がくるほどだったそうです。そこで紳助さんは、そのテレビ出演の依頼にOKを出しました。

しかしこの時、紳助さんにはテレビで自分の料理を披露するにあたって一つだけ不安なことがあったそうです。それは「魚をさばける」と言っても、今まで彼は自己流で魚をさばいていたので、正しい魚のさばき方を誰からも教わったことがないということです。

そこで紳助さんは料理の服部先生に次のように頼みました。

服部先生!ボク、魚をさばいたりするのを誰かに教えてもらったわけではないんですよ。だからテレビに出た時に間違うてたら恥ずかしいので一回見てもらえませんか?

そして番組出演に先立ち、紳助さんは魚のさばきを服部先生に披露しました。すると服部先生の口から出た言葉は、


「できてますよ…」


これについては紳助さん自身も驚いたようです。なぜ誰にも教わったことがないのに正しく魚をさばくことができるのか…?そのことについて紳助さん自身は以下のように語っています。

人間賢くなるためには意識やね。意識することで知識が身につくねん。俺は子どもの頃から寿司屋になりたくて、もう絶対なるって決めててん!ずっと寿司屋になることを意識してるから、ごはん食べに行った時とかも誰かが魚さばいてたら、自然とそのさばく様子を意識して観察してんねん。それで観察してるうちに勝手に覚えてできるようになんねん。

意識して観察するうちに自然に魚がさばけるようになったという紳助さん…この経緯を脳科学的に説明するのであれば、この場合“ミラーニューロン効果”が働いていると言えます。

ミラーニューロン効果とは?


言葉を知らない赤ちゃんがしゃべれるようになったり,歩行を知らない赤ちゃんが歩けるようになったりするのはなぜでしょうか?

それは、親をはじめとする周囲の他者がしゃべったり歩いたりするのを見ているうちに、赤ちゃんの脳の中にも「しゃべる」「歩く」ことに対応する部分の脳が活性化し、脳内で同じ行動のシミュレーションをしているからです。

自分は起こしたことのない動作でも、他人のその動作を見ることで自分の脳がその動作に反応し、模倣的に同じ行動をとることができるようになるのです。

このように、人は「他の人がある行動をおこしているのを見ると、自分の脳内でもその行動に対応した神経細胞が活性化し、自動的にその行動のシミュレーションをする」ようになります。

このような現象を“ミラーニューロン効果”と言います。

上の赤ちゃんの例では無意識に見ている状態での話ですが、覚えようと意識して見ているときには“ミラーニューロン”なる脳細胞は、無意識の状態の時よりも強く反応すると言われています。

実際、紳助さんが魚をさばけるようになる例は意識して見ている場合ですね。人が魚をさばいているのを意識して見ることで“ミラーニューロン”が活性化し、自分も同じように行うことができるようになるのです。

 ちなみに、このミラーニューロンは“物まねニューロン”とも言われ、1996年にイタリアのジャコモ・リゾラッティらによって発見されました。

まだ発見されてから20年余りなので判明していない部分も多いですが、このミラーニューロンは単に動きをマネするだけではなく、他人の身振り・表情を自分の脳の中に取り込むことでその人の気持ちまでくみ取っているのではないかと言われています。

(脳幹)網様体賦活系とは?


また、島田紳助さんは先ほどの話のまとめとして「成功するために意識して生きること」の重要性を語っていました。

以下、紳助さんの言葉です。

例えば今スチュワーデスになりたいと思った人と、10年前からスチュワーデスになりたいと思っている人とでは、なれる可能性が全然違ってくるんよ。

それはなぜかと言ったら、10年前から思っている人は「なりたい!」というアンテナを張ってるから、スチュワーデスに関するデータをキャッチすることを意識してるんよ。でもアンテナを張っていない人は意識していないから、そのデータがあってもキャッチせずに自分の前をデータが通り過ぎていくんよ。

だから成功するためには、ちゃんと意識をもって生活することやねん!

これも非常に重要な視点です。一つの事柄を「ただ単にボーっと見ている」のと「自分に関係しているかどうかを意識して見ている」のとでは、得られる成果は全然違います。

同じものを見ていても、意識の仕方一つでその受け取り方が全く異なるということです。だから成功するためには常に意識のアンテナを張っておくことが重要だと言います。


そしてこの例の場合は「スチュワーデスになりたい」という目標がセットされていたからこそ、それに関わる重要な情報にアンテナをめぐらせることになり、結果重要なデータをキャッチできるようになります。

紳助さんの例の場合でも同様です。「寿司屋になる」という目標がセットされていたからこそ、それに関わる魚をさばくという行為が重要な情報だと認識し、人が魚をさばいている姿を観察するようになったのです。

つまり、一度目標がセットされたからこそその目標にまつわる情報を脳が重要なものだと認識したことになります。そして結果、その情報やデータをキャッチすることができ、取り込めるようになったのです。

このように、人間の脳というのは「様々な情報がある中で、自分にとって重要だと認識した情報を厳選して取り込もうとする」メカニズムが備わってるのです。このような脳のシステムを“網様体賦活系”(あるいは“脳幹網様体賦活系”)と言います。

簡単に言うと、自分に関係ある情報は取り込み関係ない(興味のない(情報は遮断するという、脳の情報選別システムです。

仮に子供の頃の紳助さんが「寿司屋になりたい」と思っていなかったとすれば、魚をさばくという行為を脳は重要だとは認識しません。なのでその場合、魚をさばく行為を観察するという行動に出ることはないのです。

 「網様体賦活系」は英語で「Reticular Activating System」と言います。この頭文字をとって「RAS(ラス)」と言われることもあります。

適切な目標設定の仕方とは?


したがって、ここから何が言えるかというと・・・自分の目標を実現する上では「目標設定の仕方」も非常に大事だということです。

自分の目標を設定する上で重要なのは、現時点でそれが実現可能性があるかどうかということではありません。現時点でその実現手段がわかっているかどうかということでもありません。

実現手段など現時点でわかっていなくても、その目標を強く持ち続けて生活をしていれば、その実現のために重要となる情報をキャッチすることができるようになります。つまり目標を設定したのち、その実現手段は後から付いてくるのです。

島田紳助さんは「成功するために意識することが重要」言っていますが、この「意識をする」というのは「自分の目標をしっかりとセットする」ということです。自分の目標が高いところにしっかりとセットされていれば、その目標を実現するのに必要な情報を後から取り入れることができるようになるのです。

このことからもわかるように、成功するためには「目標の設定」の段階が非常に重要になってくることになります。

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