今回は、かつて芸能界で活躍していた島田紳助さんの言葉を紹介し、それをビジネス的な視点で見ていこうと思います。



これは彼が芸能界で活躍していた当時、これから芸人を目指す吉本NSCに所属する大勢の若手に講義をする形で発した言葉になります。

「ビジネス的な視点で見る」と言っても、実際はビジネスに限らずいろんな側面で重宝するものであるため、これはいわば“人生のバイブル”いっても過言ではないと思っています。

そんな紳助さんの言葉で今回紹介するのは、

①「ノウハウ」よりも「キャラクター」に磨きをかける
②「自分の能力」と「時代の流れ」の二つを常に分析する

という二つです。

では、まずはこれらを簡潔にまとめたこちらの動画からご覧ください。


以下、詳しく解説を加えていきます。


島田紳助の講義①「ノウハウよりもキャラクター」


島田紳助さんが芸能界に入ろうと思ったのは、テレビで観た島田洋七さんの漫才に影響を受けたからだそうです。紳助さんは洋七さんを観て「すげぇこの人!」と思ったといいます。

ただ、芸能界に入るその動機は「憧れのあの人のようになりたい」といった羨望ではなく「島田洋七を倒してやろう」という野望だったようです。

そこで、洋七さんを倒すために紳助さんがまず考えたのは、洋七さんの漫才の原型を盗むこと。そのために洋七さんの師匠と同じ師匠のところに入門し「あの人の漫才はどういうメカニズムか」ということを学ぼうといつも洋七さんの後をついて回っていたのです。

なぜ、紳助さんは洋七さんから盗もうとしたのか?

これについて、紳助さんは吉本NSCの若手芸人に対する講義の中で次のように語っています。

なぜ洋七さんをパクったかというと(これ言うたらあの人怒ると思うけど)、洋七さんには絶対勝てると思ったんよ(笑)なぜ勝てると思ったかというと、洋七さんには欠点があんねん。それをオレ(紳助さん)は二十歳ぐらいの時に見抜いててん。

めっちゃおもろいねんで、あの人。センス・才能はすごい。今でもあのB&Bのネタはウケる。30年前からやってるのになんで洋七さんがあんなウケるのか、っていうたら…残念ながら、ネタがおもろいねん。洋七さんがおもろいとは思えへんねん(笑)昔からネタがすごいねん。

でも「こいつがおもろいな」と思われな、なかなかきついよ。なんでかって言ったら、シンガーと同じで、10年やっていてもいい曲に出会えるのは2曲くらい。われわれ漫才師も、本当にいいネタに出会えるのは何年に1回…。

これが、紳助さんが見抜いた洋七さんの欠点だそうです。魅力的なネタを作ること以上に、魅力的な人間になることの方が重要だということですね。

どのようなビジネスをするにあたっても非常に重要なことです。

「魅力的なネタ」よりも「魅力的な人間」
「ノウハウ(方法論)」よりも「キャラクター(人間性)」

これは、今後のビジネスではますます重要になってくるでしょう。

お笑い芸人の場合、自分が作ったネタがウケている間はテレビで引っ張りだこの超人気者ですが、同じネタがその後もずっとウケ続けるということはまずありません。同じことをやっていても、必ずいつかは飽きられてしまいます。

そしてネタだけに注力している場合、そのネタが飽きられてしまったらもう終わりです。また新しくネタを作ることに躍起にならなければいけませんし、新しいネタが同じようにウケるとは限りません。

したがって、お笑いの世界でずっと生き残っていくためには「ネタが面白い」のではなく「自分が面白い」と思われなければいけないのです。

これは、いかなるビジネスでも同様です

稼ぐ系のビジネスであれば、YouTubeで稼ぐ方法・ツイッターで稼ぐ方法などの「ノウハウ」というのは重要ではありますが、そういった方法論というのは多くの場合一過性のものです。こういったツールに依存した具体的な戦術は、必ずいつかは廃れていきます。そして廃れた瞬間、人はそのノウハウを使っている人から離れていってしまいます。

したがって、ビジネスでずっと生き残っていくためには、具体的なノウハウ以上に、自分がどのような理念をもってそのビジネスの活動をしているのか・自分にどういった背景があるのか、といった「人間性」の方がより重要になります。

「ノウハウに魅力がある」という以上に、「自分に魅力がある」と思ってもらう必要があるのです。


島田紳助の講義②「自分の能力と時代の流れを分析する」


また、島田紳助さんは先ほどの若手芸人に対する講義の中で“漫才で成功するための公式「X×Y」”という話もしています。ここで言うXとYは、それぞれ以下の通りです。

X=「自分の能力」(自分に何ができるか)
Y=「時代の流れ」(世の中のニーズ)

Xとは「自分には何ができるのか」を分析することです。自分にできない漫才はやらなくていい。自分にはどんな能力があるのかをしっかり分析したうえで、どんな形の漫才を作っていくかを決めることが重要だということです。

そしてYとは「笑いが時代と共にどう変化してきたか」を分析すること。時代とともに漫才における笑いも常に変化していく。30年前くらい前の漫才ブームの時から売れていた人の漫才を全部聞き、そして今に至るまでで笑いはどう変わってきたか、時代によってどう変化してきたかを研究することが重要ということです。

この「XとY」(自分の能力と時代の流れ)がわかった時点で初めて「自分はどんな笑いを作ろうか」と悩むべきだと言っています。「XとY」を分析し、自分の方向性を明確にしたうえでそれに向けて努力を重ねた者だけが成功するということでしょう。

確かに、時代の流れと共に世の中のニーズも変わってきます。世の中のニーズの変化、価値観の多様化に目を向けずにどんなに努力しても、その努力は実ることはありません。たまたま成功してしまうこともあると思いますが、そのような人はその後すぐに消えていってしまうでしょう。

俗に言う一発屋芸人なんかがそれに該当します。

・音楽にのせて「なんでだろ~」と歌いながら漫才をしていた人
・海パン一丁で「そんなの関係ねぇ!」と言っていた人
・サングラスをかけて「フォーーーーー」と叫んでいた人
・ギターを持ちながら「残念!」と言っていた人、
・「ちょっと待ってちょっと待ってお兄さん」といって8.6秒で消えた人など…

彼らが当時ブレイクしたのは、XとYがたまたまマッチしたというだけの話です。

その後も常に変動するYを無視して同じXをやったところで売れ続けるわけがありません。「安心してください、穿いてますよ」と言われても、全然安心できないのです。成功するにはYを常に意識する、つまり時代に自分をあわせる必要があるということですね。

①②ともに、お笑い界やビジネスの世界のみならず、全ての分野で通用する非常に重要な視点です。