今回は、脳科学・心理学どちらの分野でも用いられる“プライミング効果”を取り上げ、その具体例とビジネスへの応用について解説していきます。

この記事を見ることで「他者に対して暗示をかけて、その他者の行動を自分の意のままに誘導できてしまう」そんな仕組みを理解することができるようになります。

ではまず、実際にあなた自身が誘導にかかるかどうか実験したいと思います。

以下の動画でいくつか質問を出しますので、その質問に全て選択肢で答えてみて下さい。質問に対しては、すべて自分で考えて選択肢を選ぶようにして下さい。では、どうぞ。


どうでしたか?おそらく、最終的には動画で言われている単語に結び付いたのではないでしょうか。

なぜこのような現象が起きるのか…?以下で詳細に解説します。


プライミング効果とは?



プライミング効果”とは「あらかじめ見聞きしたことが後の判断に無意識に影響される」ことを言います。

例えば、友人と果物の話題で話をしていた後に「赤いものと言えば何?」と質問をすると、その質問をされた人は無意識に「りんご」「いちご」「さくらんぼ」などの赤い果物を回答してしまうことが多いのです。

実際は「赤いもの」であれば、ポストやとうがらしや血液など、他にも様々なものが存在します。しかし、果物の話題が先行していたことによって脳が無意識に引きずられてしまい、結果として果物の中で赤いものを答えてしまうことが多いのです。

また、よくある10回ゲームというのもこれと同じ原理です。

他者に対して「『シャンデリア』って10回言って」と頼み、実際に10回言ってもらったとします。そしてその直後に「毒りんごを食べたお姫様は?」と質問すると、その人は無意識に「シンデレラ」と回答してしまうことが多いです。

これも、先行する「シャンデリア」という音に脳が無意識に引きずられて、そう答えてしまうのです。

そして、このプライミング効果の最も面白いところは「プライミングされた側が、そのことに気づかずに自らの意思で行動している思っていることもある」という点にあります。

事実、上の動画の実験でも、あなたは自分の意志で選択肢の中から一つを選んだと思っていたはずです。実際には、他者の意図的な誘導によって特定の行動をとるように暗示されているにもかかわらず、当の本人は最終的にその事にすら気づいていないというのが特徴です。


プライミング効果のビジネスでの活用例



そしてこれは、ビジネスにおいても利用されています。例えばカジノなんかその典型で、至るところにプライミングが仕込まれています。

カジノでは、コインの音がジャラジャラと聞こえてきたり、金色のベルが鳴り響いたりしていますし、ベル以外にも金色の光るものがいくつも置いてあると思います。あれは、カジノの中にいる客に対して「ここではお金をたくさん使うものだ」「金にまつわるものをジャラジャラ使うんだ」という意識を持たせるための仕込みです。

そして結果として、カジノに入る人はその仕込みに利用されて、有り金をすべて使ってしまうということがよくあるのです。

その後「なんで有り金すべて使っちゃったの?」と尋ねると、「いやぁ~、あそこで勝負しなきゃ男じゃないでしょ」などと言って、全く関係のない理屈で正当化するということがあります。要するにこの場合、カジノの客は自分がプライミングされているということにすら最終的に気づいていないのです。

こういった例は、リアルビジネス・ネットビジネス問わず、実は様々なところで応用されています。

テレビCMなどで、商品のプロモーション映像を見た際には、特定の映像が持つイメージや音楽の入るタイミングなどに着目し、「どこかにプライミングの要素が組み込まれていないかどうか」といった視点で見てみると、面白いものが見えてくるかもしれません。