この記事を読むことで、自分でお金を生み出す上で重要になる「ビジネスのルールの変更」というものを、具体的な実例(AKB商法)とあわせてしっかりと理解できるようになります。
そしてその上で「価値の再定義」という視点をもって、売れない商品を売れる商品に変えるための思考を強化することもできるようになりますので、ぜひ最後まで読んでください。
それでは、まずは今回のテーマについてまとめたこちらの動画からどうぞ。
以下では、この動画の内容に沿って詳しく説明していきます。
目次
ビジネスのルールの変更
まず、上の図は、前回の記事「それでも就職したい?産業社会から情報化社会への移行に伴う働き方の変化」で取り扱ったものになります。
産業社会から情報化社会への移行(社会構造の変化)を例に挙げて「テクノロジーの発達によって時代が変わり、人々の価値観が変わり、生き方・働き方が変わる」ということを示したものです。
そして、人々の生き方・働き方が変わると、ビジネスのルールも変わらざるを得なくなります。それまで通用していたビジネスのやり方が、新しい社会構造の中では通用しなくなり、新しいルールへの変更を余儀なくされることがあるのです。
今回は、この「ビジネスのルールの変更」に焦点を当て、それを元にお金を生み出すための価値の付け方について考えていこうと思います。
過去の成功方程式では生き残れない
CDバブルの背景
「ビジネスのルールの変更」について、まずはCDを例に上げて説明していきます。
CDというのは「アーティストの曲が流れるプラスチック製の円盤」ですね。言うまでもなく、このCDを商品として購入した人は、それをCDプレーヤーにセットすると収録された曲を聴くことができます。
このCDが爆発的な売上をあげたのは、1990年代のことです。
まだインターネットがそこまで広く普及していなかった当時、多くの人は、テレビなどの大きなメディアで情報を得たり娯楽の時間を費やしていました。テレビでやっているものを「面白い」と思ったり、テレビで紹介されているものを「欲しい」と思ったり…、いわば人々の需要はテレビによって生み出されていたのです。
そのため、テレビが音楽番組に力を入れたり、いろんなアーティストをクローズアップしたり、様々なテレビドラマの主題歌にアーティストの最新の曲が使われたりすると、新しい音楽はどんどん日常に浸透していくことになります。そしてこのようにテレビで祭り上げられる状況が続くことで「なんか最近の音楽かっこいい・最近のアーティストかっこいい」という意識が人々の間で高まっていったのです。
そしてそれと同時に、CDプレーヤーも一般家庭に普及しだすと、CDに大きな需要が生まれることになります。「CDがあれば、それをCDプレーヤーにセットするだけで、テレビの中のカッコいい・あの憧れのアーティストの新曲がいつでも好きな時に聞ける」ということに価値を感じる人が増えてくるのです。
これにより、有名なアーティストが新曲を出すたびに、多くの人が新しいCDを購入するという現象が起きました。実際にCDを購入する人の中には
・曲そのものを「いい曲だ」と思ってCDを買う人
・憧れのアーティストを身近に感じられることに価値を感じてCDを買う人
・最新の曲を聴いて流行に乗っている自分に酔いしれていたからCDを買う人
・逆に流行に乗り遅れたダサい人と思われたくないからそこまで興味はないけどCDを買う人
などなど様々な人がいたと思われますが、結果として、この頃のCDはのちに「CDバブル」と言われるくらい爆発的な売上を叩き出したのです。
これは、アーティストを売り込みたい音楽業界と、その業界とタッグを組んだテレビが作り出した社会現象と言えます。当時のテレビは、それほどまでに多くの人を巻き込み、大きな需要を生み出す強い影響力を持っていたと言えます。
CDバブル崩壊の理由
しかし、インターネットが普及していくにつれて、次第に状況は変わってくることになります。
インターネットの台頭により、テレビ以外にも時間を費やせるものが増えると、相対的にテレビの影響力は弱まってきます。昔のようにテレビによる一方通行的な情報の受け取るのではなく、各個人がネットを介して好きな情報にアクセスしてそれぞれ違った情報を受け取れるようになるので、人々の需要も分散することになります。
すると、もともと音楽にそこまで興味がなかった人は当然音楽から離れていきますし、音楽に興味があった人も別のものに興味を持つ機会が増えるので、音楽に対する需要は全体的に弱まっていきます。一部のコアなファンは昔と変わらず興味を示してくれるものの、それでも昔と比べてCDの売れ行きは悪くなります。
さらに、インターネットの台頭は「CDがなくてもネットからダウンロードするだけで好きな時に音楽が聴ける」という状況を作り上げました。これにより、昔は「コレがあれば、アーティストの曲がいつでも聴ける」という価値を持っていたCDは、今やそれがなくても実現できてしまうものになり、結果としてCDはどんどん売れなくなっていったのです。
インターネットの発達により人々の需要が分散したことに加え、CDがなくても当初のCDの価値を享受できるようになってしまった…これによって、CDは当初の価値のままでは完全に生き残れなくなったのです。
それまで安価なプラスチックの円盤を高値で多くの人に販売し、何年にもわたって巨額の利益を出していたレコード会社のやり方は、ここにきて通用しなくなり、大きな打撃を受けることになったのです。
これが「時代が変わったことにより当初のビジネスのやり方が通用しなくなった」典型的な例です。
ルールを変更することで生き残る
しかし、ここで重要なのは「CDは“当初の価値のままでは”生き残れない」ということです。
これは見方を変えれば「生き残るためには“当初とは別のところに価値を見出す”必要がある」ということであり、逆にそれさえできれば「生き残る余白は残っている」ということです。
現に、1999年以降CDの売上は全体的に低迷していますが、そんな中、時代の流れを無効化するかのごとく、今でも爆発的なCDの売上を叩き出しているアイドルグループが存在します。
正確には、そのアイドルグループのプロデューサーがそれを仕掛けているのですが、そのアイドルグループは、CDの価値を当初とは別のところに見出すことで(いわばCDの価値を再定義することで)売れないはずのものを売れるものに変えていったのです。
以下では、その実例をもとに
◎「お金の生み出す上での価値の付け方」
◎「お金を生み出す上でのルールの変更」
について深く考えていきましょう。
CDの価値の再定義
そのアイドルグループとは、言うまでもなくAKBグループのことです。AKBを統括しているプロデューサーの秋元康氏は、CDの価値を再定義することで、そのままの価値では売れないCDを売れるものに変えていきました。
具体的に言うと、CDを「アイドルの曲が聴けるプラスチック製の円盤」として販売したのではなく、CDを「そのアイドルが開催する握手会参加券」として販売したり「総選挙の投票券」として販売したのです。
つまり、「そのアイドルの曲や歌声を好きな時に聴くことができる」という当初の価値を見直し「そのアイドルと直接触れ合える/好きなメンバーを好きなだけ支援できる」という価値に再定義したのです。いわば複製可能な「データ」ではなく、複製不可能なその時しかできない「体験」を価値として付加したことになります。
これにより、当初の価値のままでは「一人1枚(もしくは過程に1枚)」あれば十分だったCDは「一人で何枚も」購入するものに変わりました。
・握手会に何度も参加したいと思う人
・特定のメンバーを自分の支援によって総選挙上位にしてあげたいと思う人
・CDの特典として入っている写真を全てのメンバー分揃えたい人
などなど、一部の熱狂的なファンが何枚も同じCDを購入したくなる状況が作り上げられたのです。これにより、AKBグループのCDの売上高は音楽業界の不況を微塵も感じさせることのない爆発的なものになり、結果としてオリコンランキングもAKBグループが上位を占拠する状態が確立されました。
価値の再定義に対する批判
なお、このような売り方を「AKB商法」と称して批判する人がいるのも事実です。
・「一部の熱狂的ファンが何枚も買っているだけで、ミリオン達成してもその曲を聞いたことがない人はいっぱいいる」
・「その売り方でオリコンランキング1位を取ったところで、それは本当の1位ではない」
など、主に売上と認知度が比例していないことに対する世間の批判的意見はこれまで数多くありました。
しかし、そういった批判は「売上と世間の認知度は比例しているべきだ」という自分の中での常識を前提にした上での批判であり、そもそも秋元康はそういった他人の常識をルールにして動いていないのです。
これに関しては過去のこちらの記事「妬み嫉みをなくすにはコレ!嫉妬心をなくしてお金を増やす効果的方法」でも述べたことなのですが、お金を生み出せる思考を持つ人は他人が作ったルールの中でいつまでも活動するということはせず、自分でルールを作ってお金を生み出していこうとします。
この場合、秋元康にとって「売上=世間の認知度」というのがこれまで通用してきた他人のルールであり、「売上=ファンの熱量」というのが新たに作った自分のルールです。秋元康は「ファンの数」ではなく「ファン一人当たりの質」で勝負したということです。
1人のファンが同じCDを何枚も購入するのであれば、それはファン一人当たりが応援する熱量(質)が大きいことを示すだけです。その熱量の総体がCDの売上に反映されるという独自のルールのもとで、AKBは活動しているのです。
そのようなルールの変更をした理由は、インターネットの台頭によって昔と同じようなやり方で大きな需要を生み出せなくなったからです。人々の情報の受け取り方が変わり、需要が分散されるようになった社会構造のもとでは、これまで通りのやり方で「ファンの数」で勝負することはできないので「ファンの熱量の総体」の勝負に切り替えたのです。
いわば、これは時代の流れと社会構造を読み取った上での戦略なのです。「会いに行けるアイドル」というコンセプトもその時代を読んだ戦略のもとで立てられたものですし、単純な歌のうまさだけで勝負していないという点を見ても、これまでのミュージックアーティストとは実践している競技が違うと言ってもいいです。
その活動に対して「売上=世間の認知度」という別のルールをもってきて批判するのであれば、そもそも批判自体が的外れです。これは例えて言えば、自分がサッカーをやっているからといって、野球をやっている人間に「手を使うな!」と自分のルールを押し付けているのと同じです。そもそも競技が違えばルールも違うので、初めから比較対象にはならないのです。
おそらく、これが比較されて批判の的になってしまうのは、オリコンランキングという同一ランキング上で並べられてしまうからでしょう。そして並べられた上で、自分の常識の枠に収まらないやり方で上位を独占されてしまうことに自分の理解が追いつかず、批判に走る人が続出するのです。
ただ、それであれば、そのランキングを統括している側に「同一ランキング上に載せるな!」と文句を言うべきです。それか、時代に合わせた新しいやり方に対する理解が追いつかない、その自分の頭の固さを悔いるべきです。インターネットが台頭した新しい時代に合った、新しいのルールの元で活動している側に批判を向けるのは明らかに筋違いです。
多くの場合、常識というのは「それまで自分が長い間慣れ親しんできた」という理由だけで形成される脆いものであり、時代が変わった後も頑なに持ち続けるべきものではありません。ましてや、その古い常識を振りかざして、新しいやり方を貫いて成果を出している人を批判するのは愚かなことだと言うことを知っておきましょう。
新しいやり方で成果を出している事例があるのであれば、そこから学びとろうという姿勢が重要になります。この事例から言えることは「当初の価値のままでは売れない商品も、価値を再定義することで売れる商品になりうる」ということです。重要なのは「別の価値を付加する」という視点ですね。
様々な商品の価値の再定義
ここまでは、CDを例に挙げて「ルールの変更」「価値の再定義」について解説してきましたが、以下では参考までに、その他の例もあげておきたいと思います。
本の価値の再定義
例えば、本。
本というのは「情報が得られる紙の冊子」と位置付ける人が多いのではないかと思います。ビジネス書であれば、それを読むことでビジネスに関する知識を充足できたり、役に立つ新しい視点を得られたりする、そこに価値を感じる人が多いと思います。
しかし、現代の情報化社会では、インターネット上で無料で情報を入手することができる時代です。お金を出して情報を買わなくても、ネットで調べて無料で情報を得られるので、「情報」そのものの価値は相対的に下がっているのです。
なので「知識を充足させられる」という当初の価値だけでは、本は昔ほどは需要はない時代になってきています。
そんな中で、例えば「手にしていることで知的さを演出できる」とか「インテリアとして部屋に置いてあることでSNSが映える」という価値を付加できれば、需要は多少なりとも広がることになります。つまり、本を「知識を充足できるもの」として売るのではなく「SNS映えするインテリア」として売るのです。
実際、SNSが社会においては、インターネット上で自分をよく映るように表現したいと思っている人は多いので、モノとしての本はその手段を提供できるものとしての価値を見出すことができます。「この本読んでる私ってどうですか(イケてるでしょ)」とアピールできることに価値を感じる人はいますし、現に「読了。」とわざわざツイートする人もいるくらいです。
そのように考えると、本は「内面を強化するもの」として機能するだけではなく、今の時代は「外見を補強するもの」としても機能するので、そういった価値の再定義をすることで、本来リーチしなかった層にもリーチしていくことができます。そのために、知的さを醸し出すデザインにするなど、いろんな手段が考えられると思います。
ラー油の価値の再定義
また、別の例として「ラー油」も挙げておきます。
ラー油というのは「調味料」ですね。ただ、調味料としては醤油や塩などと比べるとあまり目立たない、脇役的な位置にあるものだと思います。
ただ、そんなラー油も「調味料」ではなく、食べるラー油という形で「おかず」として販売したことで爆発的に売れるという事態が起こりました。ちょっとした味付けの調味料というカテゴリーから、ご飯の横に置くおかずというカテゴリーに変更したことで、完全に土俵を変えて独自の地位を確立するものになったのです。
このように見ていくと、「価値の再定義」という視点を持つだけで、土俵が変わり、ルールが変わり、リーチできる層が変わり、売れないものも売れるようになりうるということがわかります。
自分でお金を生み出す上で、この「価値の再定義」という視点は非常に重要と言えます。
「お金と価値」のまとめ
それでは、最後にここまでの内容をまとめておきましょう。
(当初売れていたものが、同じやり方では売れなくなることがある)
◎売れないものを売れるようにするために「価値の再定義」の視点が重要。
(「この商品を〇〇として売る」の〇〇の部分をそれまでとは変えることで、土俵が変わり、ルールが変わり、全く新しい価値を持つものになりうる)
◎価値を再定義して大きな成果を挙げている事例はしっかりと参考にすべきであり、自分でお金を生み出せるようになりたいのであれば、安易に批判すべきではない。
(批判をしたくなったら「それは自分の理解が追いついていないだけかも」「これまでの古い常識を振りかざしているだけかも」と疑う癖をつけるといい)
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