◎その脳のマイナス側面をどのように克服して成長につなげていけばいいのか?
今回の記事では「ホメオスタシス」「コンフォートゾーン」「創造的回避」という三つの言葉がキーワードになります。この記事によって脳科学的な視点から自分を意図的に成長の方向に向ける“自己改革スキル”を手に入れることができるようにもなりますので、ぜひ最後まで読んでほしいと思います。
それでは、まずは簡潔にまとめたこちらの動画からご覧ください。
以下、これを踏まえて詳細に解説していきます。
目次
ホメオスタシス(恒常性維持機能)とは?
まず、今回の内容の大前提となる「ホメオスタシス(恒常性維持機能)」の解説から入ります。
ホメオスタシスとは、人間に本来備わっている機能で「外部環境が変わっても、内部環境は一定の状態に保とうとする働き」のことを言います。通常、自分の外側の環境が変わるとそれに合わせて自分の内側にも変化が生じてくるのですが、その内部に変化が生じ始めると元に戻ろうとする力が働くのです。
これに関しては、いくつか具体例を挙げて説明しておきましょう。
身体面でのホメオスタシス
例えば、外部の気温が上がって暑くなると、人は汗をかきます。この「汗をかく」という現象も人間のホメオスタシスが働いた結果と言えます。
通常、気温(外部の温度)が上がればそれに合わせて人間の体温(内部の温度)も上がることになります。しかし、人間はホメオスタシスによって体温を一定に保とうとするため、体温が上がって暑さを感じはじめると汗をかいて体内の水分を蒸発させて体温を下げようとする機能が働くのです。
逆に、外部の温度が下がって寒くなれば、人の皮膚の毛穴は収縮します。この「毛穴収縮」という現象も同じようにホメオスタシスによるものです。通常は気温の低下に伴って人間の体温も下がってきますが、この時には毛穴を収縮させ、なるべく体の熱を逃がさないようにして体温を下げない方向にホメオスタシスが機能するのです。
他にも、血糖値が上がった時に体内からインスリンを分泌して自然と血糖値を下げようとする…など、人間の体は様々な場面でホメオスタシスが働きます。
いわばこのホメオスタシスとは、体温や血糖値や血圧を一定の状態に保つ、生命維持のために必要な機能ということが言えます。これが「身体的な面」でのホメオスタシスです。
精神面でのホメオスタシス
そしてこのホメオスタシスは、何も身体面だけに生じる機能ではありません。人間の「精神的な側面」にもこれは働きます。
例えば、私たちは見知らぬ土地に出くわすと急に不安感が募ったり居心地が悪くなったりします。そして多くの場合、元いた馴染みのある場所に引き返そうとするはずです。見たこともない生物に出くわした際も、私たちはそれを危険なものとみなしてそれには近づかずにその場から離れると思います。
また、自分のこれまでの習慣とは異なることを新たに始めようと思っても、なかなか続かずにすぐやめてしまうということもよくあります。ダイエットのために毎日食事制限と運動をする生活を続けようと思っても、それに慣れていないのであればすぐにダイエットをしない生活に戻ってしまうことが多いのです。
このように、人間には身体的側面だけではなく、精神的な側面においても「元に戻ろう」とするホメオスタシスが働きます。慣れ親しんだ場所やもの・馴染みのある行動を基準にして、その枠から大きく外れるような場所に行ったり、大きく外れるものに遭遇したり、大きく外れるような行動をとろうとすると、精神的に居心地が悪くなり結局元の状態に戻ろうとする傾向があるのです。
なお、ここで言う「馴染みのある場所や習慣」というのは、本人にとっては居心地のいい領域です。この居心地のいい領域のことを「コンフォートゾーン」と言います。
コンフォート(comfort)は「快適」という意味なので、これは安心できる快適な領域ということです。人は、このコンフォートゾーンから外れた場所に行ったりそこから外れた行動をとったりすると、快適な状態ではなくなります。するとホメオスタシスが働き、元のコンフォートゾーンの中に戻りたくなるのです。
コンフォートゾーンと創造的回避
では、以下ではその「コンフォートゾーン」をもう少し詳しく説明し、人間に備わるホメオスタシスの問題点を明らかにしていこうと思います。
コンフォートゾーンの内側と外側
先ほども少し述べた通り、コンフォートゾーンとは「現状の馴染みのある領域」のことなのですが、もう少し細かく言うと、その領域とは物理的な「場所」以外にも「経験」や「習慣」など様々な場面に適用されます。
馴染みのある場所/経験したことのあるもの/普段から行っている習慣
これらはすべて、自分のコンフォートゾーンの中にあるものです。人は、このコンフォートゾーンの中では安心な状態でいられるのですが、その外に出ざるをえなくなると本来のパフォーマンスが発揮できなくなります。そして居心地が悪くなり、結局元いた領域に戻ろうとします。
例えば・・・
◎ダイエットをしたことがない人は、急に食事制限を加えた生活をしようと思っても続けることができず、結局元の生活に戻ってしまう。
◎普段から勉強の習慣がない人は、テスト前でも勉強をすることに違和感を感じ、その状況から逃避するために部屋を掃除するなど別のことをして、いつもと同じ勉強しない状況を作り出す。
…などなど、人はこのように、慣れていない場所に行ったり、慣れていないことをやろうとしてコンフォートゾーンの外に出ることになっても、結局はコンフォートゾーンの中に引き戻されてしまうのです。
では、なぜ人はコンフォートゾーンの外に出ようとしないのでしょうか?(出ようとしてもすぐに元に戻ってしまうのでしょうか?)
居心地が悪いからと言ってしまえばそれまでなのですが、より根本的な原因を言えばそもそも人間の脳が「変化」を極端に嫌うからです。
人間の脳は、自らが生き延びるためになるべく安心できる安全な領域を確保し、そこにとどまろうとします。変化が起きる時とは「いつもとは違うことが起こる」という点で安心できるものではありません。なので人間の脳はそのような変化を嫌うのです。
身体的なホメオスタシスが生命の維持としての役割を担っているのと同じように、精神的な側面におけるホメオスタシスも危険を回避して今まで通りの安全な領域を保つ方向に機能します。このような「変化を拒み、安全を保つ」という脳の性質により、人はなかなかコンフォートゾーンの外に出ることができないのです。
創造的回避とは?
そして、そのコンフォートゾーンの外に出ないための極め付けの行動が「創造的回避」というものです。
創造的回避とは「回避する理由(やらない理由)を作るのにクリエイティブになる」ということで、英語では『Creative Avoidance』といいます。コンフォートゾーンの外に出ざるを得ない状況になった時、何かと理由を作り出してそれを回避する(外に出ない)方向にもっていくということですね。
いわば、言いわけを考えるのに創造的になるということです。
例えば、医師から「肺がんになるリスクが高まるから喫煙の習慣をやめるように」と言われた際に・・・
◎「タバコがまだ数本残ってるから、これをすべて吸い終わったら禁煙しよう」と先延ばしにして結局禁煙を始めなかったり…
◎「たばこ税を払っている時点で国に貢献しているし、これからも自分は貢献する人でありたい」と、全く関係ない理由で今の自分を正当化して結局禁煙しなかったり…
このように、ありとあらゆる理由を創造してコンフォートゾーンの外に出ようとしない、これが創造的回避です。これは言葉によってホメオスタシスを確固たるものにする役割を果たします。
なお、この記事では、このようなコンフォートゾーンの外に出ようとしない性質や、創造的回避となる行為に対して「良い・悪い」という評価はしていません。「良いか悪いか」はひとまず置いておいて、人間の脳にはもともとこのような変化を拒む性質が備わっているということです。
というわけで、ここまでは「ホメオスタシス」「コンフォートゾーン」「創造的回避」の内容について説明したことになります。
では、これを踏まえた上で、人間の精神面におけるホメオスタシスの問題点を明らかにしていきたいと思います。
ホメオスタシスの問題点
先ほど説明したように、人間の脳は変化を嫌うため、コンフォートゾーンの外に出ようとはしません。一度何かの要因で変化が起き始めたとしても、極力コンフォートゾーンの中に戻ろうとします。
しかし、人間の成長は常にコンフォートゾーンの外にあります。
「今の自分の常識に反すること」「これまでの自分が経験してこなかったこと」「これまで関わったことのない人」などは、すべてコンフォートゾーンの外のものです。そして人は、このような未知のものに触れることでそれまでにはなかった新しい価値観やものの見方を手に入れ、それを元に知識や思考をより深めて今以上に成長していくことができます。
例えば「お金は使わずにコツコツ貯めて増やすもの」という考え方が常識となっている人は、時間と労働力でお金を増やすという貯蓄型マインドの持ち主です。そのような人は「お金を使ってお金を増やす」という投資的なマインドを持っていません。そのような人は、お金を一時でもリスクにかけるそのような投資型マインドに対してはじめは大きな抵抗を感じます。いわば、この貯蓄型マインドの人にとって投資型マインドはコンフォートゾーンの外にあるものなのです。
しかし、いったん投資型マインドを手に入れると、それまで自分の中になかった新たなお金の増やし方を獲得することができます。お金をリスクにかけることの抵抗感が消え、新しい価値観を手に入れてより大きくお金を増やせる可能性を手に入れることができるのです。
このように、人は現状のコンフォートゾーンの外にある、(ある意味で)異質な領域のものに触れることで新たなパラダイムを手に入れ、成長していくことができます。自分がこれから成し遂げたいと思う大きな目標も今のコンフォートゾーンの外にあるものであり、そこから抜け出して大きく成長していくことで目標も達成することができるのです。
したがって、ホメオスタシスの機能に従ってずっとコンフォートゾーンの中にとどまっていては、ずっとこれまでの延長線上を生きることになります。いわば、これからもずっと「過去を生きる」ことになるのです。そのような状態では、大きな目標を達成することも、人間的に大きく成長することもできません。
これが、精神面におけるホメオスタシスの大きな問題点です。
コンフォートゾーンを抜け出して成長するために
では、そのような精神的なホメオスタシスの機能を見据えた上で、現状のコンフォートゾーンから抜け出し、今よりも大きく成長していくためにはどのようなことが必要なのでしょうか?
結論から言うと、そのために必要なのは「すでに目標を達成して成長している自分を強くイメージし、その自分にリアリティを感じること」です。いわば「すでに目標を達成している自分になりきってその体で振る舞い、達成していない自分を『自分らしくない』とすること」です。
そうすることで、すでに目標を達成している自分が当たり前だという状態を脳内で作り上げることができます。
これにより、目標を達成した側の環境が自分のコンフォートゾーンになり、達成できていない自分を意識すると「達成した側の環境に戻ろう」とするホメオスタシスが働くことになるのです。
つまり、すでに成長した自分にリアリティを感じることで脳内でコンフォートゾーンを塗り替えるということです。
人は、現実に起きていること以外にもリアリティを感じることができる生き物です。例えば、映画というのはスクリーン上に映し出された虚構の世界であり、今現実に起きていることではありません。ですが、私たちはそのような虚構の世界を見て感動し、涙を流すことがあります。それは、その虚構の世界にリアリティを感じているからです。
これに関しては小説であっても漫画であっても同じです。小説や漫画も、紙媒体に文字やイラストが書かれただけの虚構の世界です。私たちはそのような虚構の世界に感情を伴ったリアリティを感じているからこそ、それが何百万部と売れたりするのです。
このような例からもわかるように、私たちは現実に起きていない出来事であっても、そこに鮮明なイメージと強い臨場感を持つことができればリアリティを感じることができます。
コンフォートゾーンから抜け出すためには、人間のこのような性質を利用すればいいのです。
自分の目標を定めた段階では、現実の自分は「まだ目標を達成していない自分」です。この時、目標を達成できていない領域が自分のコンフォートゾーンとなり、「目標を達成している自分」はそのコンフォートゾーンの外にいることになります。これだと、いざ目標を達成しようとする行動に出ても、ホメオスタシスや創造的回避により、達成していない領域にすぐに引き戻されてしまうのです。
しかし先程言ったように、人間は現実に起きていない出来事にもリアリティを感じることができます。したがって、現実にはまだ生じていない「すでに目標を達成している自分」に対しても、リアリティを感じることは可能です。すでに成長している自分を鮮明にイメージしそこに強い臨場感を持つことができれば、脳内ではそちらの方が自分にとっての現実にすることができるのです。
そうすることで、自分の脳内ではすでに目標を達成できている領域の方を自分のコンフォートゾーンに書き変えることができます。すると、そのコンフォートゾーンから外れた自分がいれば「いやいやこんなのは自分らしくない」と感じて、その目標を達成している領域のコンフォートゾーンに戻ろうとするのです。
このように、すでに目標を達成して成長している自分に強くコミットすれば初めのコンフォートゾーンから抜け出すことができます。ホメオスタシスの機能自体を壊すことはできませんが、脳内のリアルの世界を書き換えた上でそのホメオスタシスの機能をうまく利用することで、大きく成長した自分に近づくことができるのです。
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