◎「希少性の原理が恋愛の場面で現れる具体例」
◎「ビジネスで希少性の原理を利用した二つの典型的手法」
それでは、まずはこちらの動画からご覧下さい。
以下、詳細に解説を加えていきます。
目次
希少性の原理とは?
“希少性の原理”とは「手に入れる機会を失いかけた時、その機会をより価値あるものだと感じる」人間の心理的傾向のことです。
これに関しては比較的イメージしやすいのではないかと思います。
「ちょっと・・ここだけの話なんだけどさぁ…」
声をひそめた感じのこんな言葉を発されると、思わず耳をそばだてて話を聞こうとしてしまう人が多いと思います。
このセリフを聞いた瞬間、それまでパソコンのキーボードを打っていた人であれば、一時的に手を止め、目線をその人の方向に向けるでしょう。それまで鼻歌を歌って自分の世界に浸っていた人であれば、瞬時に鼻歌を停止し現実世界に意識を向けてしまうと思います。
「何か貴重な情報が得られるのではないか?」
そんなことが反射的に頭によぎり、期待してしまう人が多いはずです。
このように“ここだけの話・ここでしか得られない情報”という表現は「今機会を失うと二度と入手することができないかもしれない」という強い感情を私たちに誘発するのです。
基本的に「手に入りにくいものは価値が高い」と感じ、逆に「手に入りやすいものは相対的にそこまで価値は感じない」というのは、一般生活で誰もが実感していると思います。モノでも情報でも、手に入れる機会が少ない方が人は大きな価値があるとみなすのです。
「モノ」の希少性に関していえば…
金や銀が高価なのは、単に外見がきれいだからというだけではありません。埋蔵量が少なく、それに伴う流通量も少ないことがわかっているからです。
また、世界三大珍味といわれるキャビア・フォアグラ・トリュフの値段が比較的高いのも、必ずしもおいしいからというわけではありません。入手自体が困難だったり、人工的に作るのが難しかったりするからですね。
「情報」の希少性に関していえば…
誰に聞いてもすぐに得られるような情報にはほとんど価値はありません。また、多くの人が言うようなありきたりなことを主張したとしても、希少性は感じられず「普通だな~」と言われて終わりです。
「成功するためには、成功しようという気持ちが一番重要なんだ!」と言ったところで、(たとえそれが正論であっても)大きな価値は感じてもらえません。そんなありきたりなことを言われたら「お前は平均点か!」とツッコミを入れたくなってきます。
このように「手に入りやすいものは価値が低く、手に入れにくいものは価値が高い」というのは、経済界でも一般の生活でも、もはや常識となっているのです。
希少性の原理を利用したビジネス手法
そして、この人間に備わる“希少性の原理”を利用した手法は、あらゆるビジネスで頻繁に応用されています。例えば「数量限定販売」「期間限定販売」という言葉。店頭やネット上の広告でよく見かける言葉だと思います。
これは・・・
ということを私たちに訴えかけているのです。
「期間に限りがある、希少価値がある」というメッセージを伝え、それによって消費者は「早くしなければ!」という衝動に駆られることがあります。
“希少性の原理”は人間に潜在的に備わっている心理なので、理性で抑制するのは実はそんなに簡単なことではありません。人間は「数量限定」「期間限定」といった表現を見ると、冷静な判断力を失ってしまうことがよくあるのです。
このような希少性を訴えることで価値を感じさせる手法は、正しい使い方をすれば思った以上に効果があります。
ハード・トゥ・ゲット・テクニック
また「数量や期間を限定する」という手法以外にも、希少性をアピールする手法が使われることがあります。「会員様限定販売」というフレーズはそれに該当します。
これは「一般公開はしませんがあなただけには特別に販売します」とったメッセージを伝え、相手を特別扱いするのです。そして人は「他の人が得られない貴重な機会を、自分は得ることができた」という認識を持つようになり、購買意欲が刺激させられるのです。
このように「あなたには特別」という言い方で希少性を訴える手法を“ハード・トゥ・ゲット・テクニック”と言います。
“hard to get”=「入手困難」ということですね。「入手困難なものをあなたにだけ特別に提供しましょう」といったメッセージです。
そしてこれはビジネス以外の場面でも有効です。単純に「あなたにだけは特別」ということを言われて嫌な気持ちになる人は、基本的にはほとんどいないと思います。人間には「人から認められたい」という承認欲が本来的に備わっており、この表現を使われることでそれが満たされた気になるのです。
下手な使い方をすると「他人に迎合してるだけじゃん!」と思われてマイナス効果なることもありますが、対人関係を円滑に進めていく上ではこういった手法をうまく使っていく事も必要なのかもしれません。
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