今さら聞けない金融緩和と円安の「なぜ?」をわかりやすく解説
今回は「円安が進行する日本経済の未来」をテーマに、主に次の事項について詳しく解説します。

この記事を読むことで理解できること
◎日銀が実施する金融緩和とはどのような政策か?
◎なぜ金融緩和を実施すると円安が進行しているのか?
◎円安によって国民の生活にどのような影響が出るのか?

ところどころ図解をしながらわかりやすく説明していますので、ぜひ最後まで読んでご自身に役立てていただければと思います。

日銀が実施する金融緩和とは?


まず、昨今円安が進行している背景には日銀による金融緩和政策が挙げられます。

金融緩和とは、端的に言えば「社会に出回るお金の量を増やそうとする政策」です。

社会に出回るお金の量が増えるということは、企業や個人の手に渡るお金の量が増えるということです。企業も個人も、手元のお金が増えればそのお金をより使いやすくなります。企業であればその事業の設備投資に、個人であれば消費により多くのお金を使えることになるため、それによって経済は活性化して景気は良い方向に向くことが期待できます。

つまり、日銀による金融緩和は景気回復を目的としたものであり、それを実施する時というのは基本的には景気が悪い時なのです。社会に出回るお金の量が減っていて企業や個人がなかなかお金を使おうとしない…そんな悪化した景気を回復させるために、社会のお金の量を増やすことで企業や個人にお金を使ってもらい経済を活性化させようとするのが金融緩和政策ということです。

 日本では2013年4月にアベノミクスの一環として異次元な金融緩和(量的・質的緩和)が導入されました。その異次元緩和に関しては2024年3月をもって終了が発表されましたが、それでも緩和的な金融環境が完全に撤廃されたわけではなく依然として通常の緩和は継続しています。その金融緩和が今の円安の根本原因になっているのです。

日銀の金融緩和の具体的施策


では、日銀は社会に出回るお金の量を増やすために具体的にどんな施策をするのか?

それが「政策金利の引き下げ」「国債等の買い入れ」の二つです。

以下、この具体的な二つの施策をそれぞれを詳しく説明します。

企業や個人にお金が流れるルート


まず具体的な二つの施策を理解するにあたり、それに先立って押さえておくべきことがあります。それは社会にお金が流れてくるまでに辿るルートです。中央銀行によって発行されたお金が一般の企業や個人に渡るまでには、次のルートを辿ることになります。

「中央銀行(日銀) → 民間の金融機関 → 企業・個人」


日本におけるお金の発行主体は日銀になりますが、その日銀が発行したお金はいきなり一般の企業や個人の手に渡ることはありません。日銀のお金はまずは“貸出”という形で民間の金融機関に流れます。そしてその民間の金融機関のお金が同じように“貸出”という形で企業や一部の個人に流れ、さらにその企業のお金が給与という形でそこに勤める個人に流れ着くことになります。

そしてこれは、社会にお金が流れる際に通る“唯一の”ルートです。日銀が発行したお金が一般の企業や個人に流れるまでのルートはこの一本しか存在しません。したがって、日銀が金融緩和策として「社会に出回るお金の量を増やす」際にもこの一本のルートを経由して企業や個人に渡るお金の量を増やすことになります。これが、まず押さえておくべき大前提です。

政策金利の引き下げ


では、これを前提とした上で「政策金利の引き下げ」について説明します。

政策金利とは、日銀が民間の金融機関にお金を貸し出す際の金利です。いわば民間金融機関が日銀からお金を借りる際に負担すべき利息のことです。

この政策金利を引き下げるということは、民間の金融機関からすれば低金利(少ない負担)で日銀からお金を借りられることになります。いわば低金利で資金調達が可能になるのです。そして低金利で日銀からお金を借りられると、一般の企業や個人に貸し出す際の金利も下げることができます。


その結果、企業や個人も民間金融機関からお金を借りやすくなり、結果として社会にお金が流れやすくなるのです。

企業がお金を借りやすくなると積極的に事業の設備投資に回そうとしますし、その結果企業の業績がよくなると個人の給与も上がって消費が増えることが期待できます。また、個人がお金を借りやすくなると住宅ローンや自動車ローンも組みやすくなります。このように事業投資や個人消費が増えることが期待できるので、より経済が活性化して景気の回復が見込めることになります。

これが金融緩和の具体的施策の一つである「政策金利引き下げ」の狙いと中身です。

国債等の買い入れ


そして日銀の金融緩和のもう一つの具体的施策が「国債等の買い入れ」です。

国債とは国が発行する債権のことであり、通常は様々な投資家や民間金融機関が保持しています。金融緩和の一環としての「国債の買い入れ」とは、民間金融機関が保持している国債を日銀が買い付け、その購入分のお金を民間金融機関に流すことを指します。これにより民間金融機関が保有するお金が増えることになります。

民間金融機関としては、国債を保有していればその利息分の利益を得られますが、国債と引き換えに得た日銀からのお金についてはそれを保有しているだけでは利益を得られません。そのため、民間金融機関はその保有しているお金を一般の企業や個人に借りてもらい、その利息分で利益を得ようとします。そしてその際、企業や個人がお金を借りやすくする必要があるため貸出金利を下げるという行動に出るのです。


これにより、社会にお金が流れやすくなります。つまり政策金利引き下げと同様の経済効果をもたらすことが見込めるということです。

 なお、この二つ目の金融緩和策については「国債“等”の買い入れ」というフレーズを用いましたが、「国債“等”」ということは、今説明した国債以外にも金融緩和の一環として日銀が買い入れてきたものはあるということです。

その代表的なものが、ETF(上場投資信託)やJ-REIT(不動産投資信託)です。

このETFとJ-REITについては2024年3月に新規購入の終了が日銀によって公表されており、現在は実施していないため詳細な説明は割愛しますが、先ほどの国債買い入れによる緩和策を「量的緩和」と言うのに対し、ETFやJ-REIT等の国債以外の資産買い入れによる緩和策を「質的緩和」と言います。

金融緩和を実施すると円安になる理由


ここまで、日銀による金融緩和の目的とその具体的施策を説明してきました。

では、なぜ金融緩和を行うと円安になるのか?…それは金融緩和によって日本円の金利が下がることにより、投資家が日本円を売ろうとするからです。

円の金利が下がれば、円を保有していても得られる利息が下がることになります。これは投資家からすると、ドルなどの外貨と比較して円を保有するメリットが小さくなるということです。そのため、投資家は今保有している円をより大きな利息が得られるドルなどの外貨に変えようとします。円を売ってドルなどの外貨を購入する投資家が増えるので、円の価値は下がり円安になるのです。

円安になると何が起こるのか?


では、円安になると日本経済全体や国民の生活にはどのような影響が出るのか?

主な影響としては次の二つです。

◎「輸出企業の業績は向上し、株価が上がる」
◎「輸入品の仕入れ値は上がり、物価が上がる」

以下、この二つについて簡単に解説します。

輸出企業の業績は向上し、株価が上がる


まず、日本のメーカーをはじめとした輸出企業の業績は向上します。輸出企業とは海外に製品を販売している企業ですが、そのような企業の業績は為替レート(円安なのか・円高なのか)に大きく左右され、円安になる方が数字上の業績は良くなるのです。

例えば、1ドル110円のレートで5000ドルの売上が出た場合、円換算での売上は550,000円です。しかし、より円安の1ドル150円のレートで同じ5000ドルの売上が出た場合、円換算での売上は750,000円になります。このように、仮に製品の実質的な売れ行きは同じであっても業績は伸びていることになるのです。

そして企業の業績が伸びれば、社員の給料やボーナスにプラスの影響が出ることが期待できます。賃金が増えれば個人の消費も増えることが見込めるため、それによって物価が上がり景気の回復が期待できます。また、業績が伸びればその企業の株価は上昇するため、株主の利益は増えます。すると個人の消費の拡大に加え、買い足しなどもしやすくなるため企業価値の更なる向上につながり、景気の好循環を生むことも期待できます。事実、これが政府や日銀が思い描いていた金融緩和による景気回復シナリオです。

しかし、これはあくまで理論上の景気回復シナリオであり、現実にはそこまでうまくいっていないのが実情です。現に日本では円安は進行して日本の主要企業の株価は上昇していますが、賃金の上昇には至っておらず景気回復を実現できているとは言えません。

では、なぜ想定したシナリオ通りに景気回復が実現できないのか…?

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輸入品の仕入れ値は上がり、物価が上がる


また、円安になると海外から輸入している商品については価格が上がることになります。海外からものを仕入れる際、円安の場合はより多くの円を支払って仕入れることになるため、その輸入品(及び輸入品をもとに作られた製品)が日本の市場で販売される際にも価格が上がった状態で消費者に提供されることになるのです。

特に日本の場合は食料自給率が約40%と低く、現在多くの食料品は輸入に頼っています。そのため円安によってスーパー等に陳列される食品の値段もどんどん上がってきており、日に日に生活の負担が増していると感じる人が多いのが現状です。

そしてこの物価上昇において重要なのは、現在の日本は“賃金は上がっていない中で”物価が上昇しているということです。

これが仮に賃金の上昇を伴った景気回復の中での物価上昇であれば、(賃金上昇によって個人の手元のお金も増えるため)家計にそこまで大きな負担はかかりません。むしろ景気回復の中での物価の上昇であれば、それは経済成長に成功しているためプラスと評価できます。

しかし現在の日本はそうではありません。賃金は上がっておらず景気が悪い中で輸入品の物価だけが上昇しているため、家計の負担だけが増大してきているのです。

金融緩和で景気が回復しない現状をどう打開するか


ここまで述べてきたように、日銀が実施してきた金融緩和政策はその狙いとは裏腹に景気回復を実現できていません。人為的に円安を引き起こしてはいるものの、賃金は上昇しないまま物価だけが上がり生活の負担が増しているのが実情です

「うまくいっていないのであれば、金融緩和をやめればいいのでは?」

このように思う人もいるかもしれませんが、実際にはそうもいきません。今の日銀には金融緩和を完全には止めることができない事情があり、それによってどんどん日本経済は厳しい状況に陥るネガティブスパイラルの構造に入っているのです。

では・・・

・なぜ日銀は金融緩和を完全にはやめることができないのか?
・日本経済のネガティブスパイラルとは具体的にどのような構造なのか?
・そのような経済の現状を鑑みて、これからどのように生きていけばいいのか?

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