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ビジネスの世界では、大きな成果を収めている“名経営者”と言われる人物が複数存在します。そしてそんな名経営者の多くが愛読していることで知られる『孫子』の中には、次のような言葉があります。
「彼を知り己を知れば百戦殆(あや)うからず」
これは「相手の実力や情勢を把握するとともに自分自身の現状もしっかりとわきまえていれば、何度戦っても負けることはない」という意味になります。
◎「自分自身のことをよく把握すること」(己を知る)
戦に勝つ上でこの二つの事項の重要性を説いた教訓です。
名経営者はこの言葉を自分のビジネスに応用しているのですが、ただこれはビジネスに限らず(ジャンルを問わず)あらゆる目標を達成する上で非常に大事な考え方と言えます。
今回はこの言葉を皮切りに、非常に重要なことをお話しします。
目次
賢者は彼を知り己を知る
例えば、この「彼を知り己を知る」をスポーツの世界で応用したわかりやすい事例として個人的に思い出すのが、ボクシング元世界チャンピオンの畑山隆則の試合です。
1999年に一度は引退を表明したものの「坂本博之と戦いたい」という理由で翌年に現役復帰した畑山は、WBA世界ライト級王座に就いてからの初の防衛戦でその坂本選手と戦うことになりました。
決戦の日は2000年10月11日。
その坂本戦を控えた試合前インタビューで記者から「(坂本選手に)勝てますか?」と聞かれた際、畑山は次のような回答をしています。
彼は自分のアゴ(の強さ)に自信をもってるんですよ。
僕は自分のアゴ(の強さ)に自信がないんですよ。
彼はパンチ(の力)があるんですよ。
僕はパンチ(の力)がないんですよ。
…だから僕が勝てるんですよ。
一見すると論理破綻しているようにもとれるこの言葉は、先の「百戦殆うからず」の真理を表しています。
この時、畑山は対戦相手の力量を把握してるだけでなく、自分自身のこともよくわかっていました。自分が戦う理由はもちろんのこと、自分の弱点と言える特質もしっかり理解していたからこそ、それをカバーするだけの戦略を立てて試合に臨むことができたのです。
自分はパンチ力がないと自覚しているが、相手はパンチ力があるが故に大振りになるのでそこにも隙ができる。
だから自分はしっかりブロックを固めながら相手のパンチの打ち終わりを狙い、手数勝負でコツコツ細かいパンチを当ててダメージを蓄積させる
この戦略が功を奏し、結果として畑山はこの防衛戦においても見事なTKO勝利を収めました。
自分よりも打たれ強く・自分よりもパンチ力がある手強い相手にも勝つことができた背景には、まさに「彼を知り、己を知る」状態があるのです。
愚者は彼を知り己を知らず
しかし、私たちの多くは何か目標を立てて物事に取り組む際「敵を把握すること」にはそれなりの時間と労力を費やすものの「自分を把握すること」には意外に無頓着であるように思います。
受験における「己を知らず」
例えば、資格取得や大学合格を目標にした受験勉強の場面を考えると…
この場合の“敵”に該当するものは資格試験や大学試験の問題です。そして多くの人は「敵を把握すること」はしっかりと実践します。直近の出題傾向・受験科目のそれぞれの配点・例年の合格最低点…などなど、この辺りをしっかりと分析・把握し、それに沿った効果的な学習プランを組み立てて受験準備を続け試験本番に臨みます。
しかし一方「自分を把握すること」をしっかり実践している人はかなり少ない印象を受けます。
大学受験の場合、これは私自身の受験当時を振り返っても言えることですし、塾講師時代に受け持っていた多くの生徒の状況を顧みても言えることです。
・「なぜ自分は大学進学を目指すのか?」
・「その選択肢は自分がもちあわせている特質に適しているのか?」
・「その大学に行くことがその後の自分の人生にどう生きてくるのか?」
このような自分自身の目的や適性やスタンスを明確にしないまま、なんとなく大学受験の道を選び、なんとなく自分の中で偏差値の高そうな大学を選んでいるケースはかなり多いのです。
特定の資格試験においても同様で、いわば「彼を知り、己を知らず」の状態で物事に取り組んでいるということです。
そしてこの「己を知らず」の状態こそが、モチベーションが長く続かずに露頭に迷ったり途中で挫折してしまう大きな要因と言えます。
目的地へ向かうまでの適切なルートをどれだけしっかり確認したとしても…、
そしてそこに向かうまでの障害物をクリアする方法をどれだけ明確にできたとしても…、
車そのものにエンジンがかかっていなければ当然車は前には進みません。
「彼を知り、己を知らず」とはそのような状態を指します。
どれだけ綿密に入試問題を分析しても…、
どれだけ適切な学習プランが立てられたとしても…、
それに立ち向かう自分自身の内側からみなぎるものがなければせっかく立てた計画も前には進みません。
その敵に挑む自分にとっての意義を明確にできなければ心の底から「やりたい」という意識は芽生えないため、結局長続きせず挫折してしまうことになります。
さらに、仮にその受験では結果的に合格することができたとしても、そこで自分にとっての意義が明確にできていなければその後の人生にとってプラスにはなりません。確固たる目的のないまま大学に進学しても「結局大学で学んだことは何の役にも立たなかった」という状態で卒業することは多いです。
これは私自身の経験も踏まえ、非常に愚かなことだったと痛感してます。
ビジネスにおける「己を知らず」
そしてこのことは、個人で事業を立ち上げてビジネスをする人間にも同じことが言えます。
新しくビジネスを立ち上げる際、多くの人は市場を観察し、同業他社の商品やサービスをの良いところを参考にしたり同業他社の特徴を理解した上で差別化を図ろうとします。いわば「敵を把握すること」については割と多くの人が当たり前のように実践します。
しかし一方で「自分を把握すること」については無頓着なままビジネスをしようとする人は意外にも多いです。
そして先ほどの例と同様に、物事がうまくいかない最大の要因はここにあります。どれだけ市場や競合他社を観察しても「そもそも自分はなぜそのビジネスを立ち上げているのか?」という自分にとっての意義や目的を明確にしていなければ、長期的に良い方向に進むことはないのです。
例えば「生活費を稼ぐため/家族を養うため」であれば、別に自分で事業を立ち上げる必要はありません。生活費が目的であれば他者が立ち上げている会社の従業員として働くだけでもそれを達成することは十分可能です。
また「雇われるのが嫌だから」という理由であっても、それだけでは自分が起業に適していることにはなりませんし、それだけが理由であればビジネスの業種は何でもよくなってしまいます。
仮に上記のような理由や目的で事業を立ち上げても、やがてより大きく稼げている他人の事業が羨ましくなってそちらに流されてしまったり、ついつい不毛な小金稼ぎなどの行動に走ってしまいがちになります。やっていることが一貫せず、気づいた時には結局なんのための事業なのかよくわからなくなり路頭に迷ってしまうのです。
もちろん、それでもラッキーパンチで一時的に大きなお金を稼げてしまうことはあるかもしれません。しかし事業の軸がブレブレの状態であればいずれは誰も応援してくれなくなります。
そして当然、他者からの応援や協力を一切得ずして事業を続けていくことはできません。結局一貫した信念のない状態のまま自分のビジネスが長期的に続くわけがないのです。
・「なぜ自分でビジネスを立ち上げるのか?」
・「その選択肢は自分がもちあわせている特質に適しているのか?」
・「そのビジネスを通して何を実現しようとしているのか?」
個人で事業を立ち上げる場合でも、このような自分自身の目的や適性やスタンスを明確にすることは非常に重要です。それを明確にした上で自分の心の底から「やりたい」と思えるような内側からみなぎるものが芽生えない限りは、あまり良い結果には結びつかないのです。
このことからも、スポーツの世界に限らず勉強でもビジネスでも、その他あらゆるジャンルの目標を達成する上でも「彼を知り、己を知る」ことは非常に重要であることがわかると思います。
・・・では・・・
なぜ私たちの多くは物事に取り組む際「敵を把握すること」にはそれなりの時間と労力を費やす一方で「自分を把握すること」には無頓着なのでしょうか?
メルマガ内で不定期に案内している講座の中では、私たちから「己を知る」スキルを奪っていく元凶やその改善策についても詳しく解説しています。
そこで解説しているポイントは、ビジネスのみならずいかなるジャンルの目標を達成する上でも普遍的に重要なものであり、また、現在の生活に漠然と不安や不満を抱えている人にとっても何かしらのヒントになるのではないかと考えています。
ビジネスの枠を超え、このことにも役立つ内容になっていると思いますので、少しでも興味があればぜひ以下のページからメルマガでの情報も受け取ってほしいと思います。
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