今回は、YouTubeにおける「ゲーム実況動画vs 実写動画」というタイトルを皮切りに、ビジネス全般における重要な視点について書いていこうと思います。

何となく、最近のゲーム実況と実写を比較して見ていると、わかりやすい「ある傾向」というものが見えてきます。


新興勢力の台頭

ゲームvs実写動画
まず、最近のYouTuberを見ていて思うこと。これを一言で言うと、「ゲーム実況動画」よりも「実写動画」の方が確実に勢いを増してきているということです。

かつて動画投稿の王道ジャンルだった「ゲーム実況」は、今は顔出しYouTuberの「実写」に比べると全体的に下火になっている印象を受けます。

ゲーム実況者として、チャンネル登録者上位に君臨する有名YouTuberと言えば、


・赤髪のとも
・兄者弟者
・ポッキー
・アブ
・ホラフキン
・キヨ

といった人たちが挙げられますが、これらの有名YouTuberは、最近の登録者の伸びに関しては相対的にそれほど芳しくありません。(この中で今月の登録者増加数20位以内に入っている人は一人もいません)

最近の登録者の伸びに勢いがあるのは、完全顔出しで実写動画を投稿しているYouTuberです。

「はじめしゃちょー」や「ヒカキン」、「木下ゆうか」など、以前からわりと有名なYouTuberに未だ勢いがあるのはもちろんですが、無名だった実写系YouTuberが最近になって飛躍的に登録者を伸ばして一気に人気になるという例が本当に増えてきています。


例えば・・・

二人組の大学生YouTuber「水溜りボンド」なんかは今やチャンネル登録者は100万人近くにもなっていますが、彼らが動画投稿を始めたのはわずか1年半前の2015年1月1日です。

また、「ヒカル」というYouTuberは今年3月になって立ち上げたばかりの実写系チャンネルの登録者数が、それまで2年ほど続けていたゲーム実況チャンネルの登録者数を開設わずか5ヶ月で抜いてしまいました。

(ちなみに余談ですが、このヒカルという人物はかつてバナナデスクさんの下克上をアフィリエイトしていたネットビジネス経験者です)

その他「禁断ボーイズ」や「ねこてん」など、これまではそこまで有名とは言えなかった実写系のYouTuberがどんどん勢いを加速させてきているのです。


これらの例や、登録者増加数のランキングデータを見る限り、今の勢いは確実にゲーム実況よりも実写に軍配が上がると言えます。

かつての動画投稿の王道ジャンルだったゲーム実況は、今では(相対的にではありますが)衰えを見せ始めているのです。



ゲーム実況の限界

WiiU
ただ、これも必然と言えば必然なことなのかもしれません。

かつての王道ジャンルだったゲーム実況が相対的に下火になってきている、その最も大きな理由は「ゲーム自体は誰がやっても同じコンテンツだから」と考えられます。

もちろん、実況の仕方次第で自分だけの色を出すことはできますが、ただ、ゲームそのものは誰がプレイをしても同じものなのです。

動画の柱となるゲーム自体は他と同じコンテンツである以上、ゲーム実況者というのは、他の実況者と同じ、一定の枠の中で自分の色を出しているだけになります。


これも、ゲーム実況が流行り出した当初はそれでもよかったのですが、次第に同じようにゲーム実況動画を投稿する人が増えてくると、そのゲーム実況自体が全体的に陳腐化してきます。

動画の中心にあるコンテンツが同じである以上、視聴者からすれば「こいつも同じことやってるよ…」というマイナスの感情を抱くことはごく自然なことです。

そして、すでにそのゲームの内容を知っている視聴者からすれば、「同じもの見るくらいなら全く別の違うもの見よう…」となるのも、ごくごく普通の流れなのです。


これは、同じ商品を売っているアフィリエイターが特典の部分で自分の色を出そうとしているのと似ていますね。

特典にどれだけ自分のオリジナリティを出しても、根本にある商品が同じである以上、その商品を持っている人からしたら魅力はあまり感じられないことが多いのです。


また、ゲーム実況というのは実写に比べると「視聴者の意表を突く」というのもなかなか難しいという実情があります。

実写であれば、「○○をやってみた」という実験系の動画などは、「誰もやっていないことをやる」という点では意外性というものに期待を膨らませる視聴者は数多くいます。

しかし、ゲーム実況動画の場合は一つのゲームという枠の中でのコンテンツになるため、その意外性を誘発することもなかなか難しいのです。

YouTubeの勢いが実写の方に集中してきたのは、そのようなゲーム実況の(ある種の)マンネリ化が起きている中で、ゲームにはない「意外性」や「何が起こるかわからないわくわく感」を視聴者が求めてきた結果と言えるかもしれません。


つまりまとめると、もはやこれまでのゲーム実況のスタイルでは、他との差別化をする上でも、意外性を見出す上でも、一定の限界があるのです。



常識を覆すパラダイムシフト

バック転
そんな中、YouTubeでゲーム実況動画がかつての勢いを盛り返すためには、実況自体の在り方を変えるなどの根本的なパラダイムシフトが必要でしょう。

これまでの常識となっていた、「画面をキャプチャしてプレイしている様子を映し、自分の声を出して実況する」という紋切り型のやり方では、今後徐々に衰退していくはずです。

これまでの実況の常識を覆すような根本的な変化がない限り、ゲーム実況自体がオワコンになっていくのは避けられないでしょう。

繰り返しになりますが、ここで勢力を盛り返すために必要なのは「常識を覆す」スタイルなのです。


そして考えてみれば、世の中のあらゆるものは、この「常識を覆す」ということを繰り返しながら進化してきました。

それまでの常識を覆し、既存のものをぶち壊し、形を変えながら今に至っているのです。


●《音楽に関して言えば…》

もともと、「音楽はコンサートホールで聴くもの」というのが一般的でした。コンサートホールという日常とは一線を画した特別な空間に足を運び、その空間の中で音楽を堪能するというのがそもそものあり方であり、いわばそれが音楽の「常識」とされていたのです。

しかし、CDやウォークマンの台頭によって「音楽は持ち運ぶことができるもの」に変わりました。これによって音楽は一気に気軽に聴ける存在・日常に近い存在へと変貌を遂げたのです。

さらに今では、iPodなどの台頭によって「音楽はCD要らずのダウンロードできるもの」に変わりました。「持ち運ぶ際にはCDからウォークマンに曲を移す」というかつての常識が、ここでも覆されることになったのです。


●《ゲームに関して言えば…》

もともと、「ゲームはゲームセンターで遊ぶもの」というのが一般的なあり方でした。日常とは異なる迫力のある異空間でアーケードゲームなどをプレイする、それがかつてのゲームの「常識」だったのです。

しかし、ファミコンなどの家庭用テレビゲームの台頭によって、次第に「ゲームは家でプレイするもの」に変わっていきました。ハード機とソフトを購入し、家で遊ぶというのが一般的になったのです。

さらに今ではスマホゲームの台頭によって「ゲームはハード機要らずのダウンロードできるもの」に変わりました。ハードを新しく買わずともすでに持っているスマホをハード代わりにするという全く新しいスタイルに変わっていったのです。


●《アイドルに関して言えば》

昔は「アイドルはファンからは存在」というのがそもそもの一般的なあり方でした。手の届かないところにいる神のような存在というのが、いわばかつてのアイドルの「常識」だったのです。

しかし、AKB48の台頭によってアイドルの在り方もそれまでとはがらりと変わりました。
「会いに行けるアイドル」というこれまでにはないコンセプトを掲げることで、「ファンとの距離が近い人間味のある存在」に変わっていったのです。



このように、世の中のあらゆるものは、それまで常識となっているものをぶち壊し、パラダイムシフトを繰り返しながらどんどん進化してきたのです。



ビジネスで発展し続けるために


そのように考えると、YouTubeでのゲーム実況に限らず、今後ビジネス全般において発展し続けるためには、

「今自分の業界で常識と化していることは何か」
「その常識を、人々のニーズに合致する形でぶち壊せないか」

を常に考えることが重要だと言えるでしょう。


かつて常識となっていたことは、時が経てば必然的に非常識になっていきます。

アフィリエイトという一つの業界だけを取り上げてみても、かつて常識と化していた「大量の特典合戦」をやっている人は、今はもうほとんどいません。

また、商品のレビューを記事にし、広告をペタペタ貼っているだけで稼ぐというかつて常識となっていた手法で今も稼いでいる人も、(一部例外を除いて)もうほとんどいません。

それ以上に、一つの業界を他の業界と分断して一つの単位とするような発想自体が、もはや常識ではなくなってきています。

常識というのは塗り替えられ続けるものなのです。


したがって、今常識となっていることも、後の非常識になることは必然です。そしてその塗り替えられた常識を踏まえて乗り越えることができる人というのが、ビジネスいおいて長期的に生き残っていくことのできる人なのでしょう。

では、今の自分の業界で、今常識となっていることとは何でしょうか?また、その業界というカテゴリー(業界の枠)自体をうまく壊すことはできないでしょうか?

こういったことを常に考えるようにしておくと、自分のビジネスにおいても、その常識をぶち壊すのに必要な革新的な何かが見えてくるかもしれません。