今回は「アンカリング効果」という心理学用語を解説します。

この記事を読むことによって、
・「アンカリング効果とは何か?」
・「日常ではアンカリング効果はどのような場面にあらわれるのか?」
・「ビジネスでアンカリング効果を利用した手法にはどのようなものがあるか?」
ということがわかるようになります。

このアンカリング効果を理解すると、これまでの経験の中で「これは自分にも当てはまる」と感じるものが必ず出てくると思います。それだけ普遍的な心理現象なので、イメージも湧きやすいと思います。

それでは、まずはアンカリング効果についてまとめたこちらの動画をご覧下さい。


以下、この内容について詳しく解説していきます。


アンカリング効果とは?



“アンカリング効果”とは「最初に提示された一定の数値や情報が印象に残り、その数値や情報が基準(アンカー)になって、後の判断に影響を及ぼす心理傾向」のことを言います。

おそらく、この説明だけだとあまりイメージができないと思いますので、以下で具体例を挙げて説明します。


日常で見られるアンカリング効果の具体例


では、簡単な具体例を挙げましょう。

とある大学生の女性A子さんは、最近、同じ大学に通うイケメン男性Xと交際することになりました。これまでイケメンと付き合ったことがなかったA子さんは「こんなイケメンと付き合えるなんてラッキー!」と思ってウキウキしていました。

しかし、交際関係を続けていくうちに、A子さんはある一つの重大な問題があることに気づきました。それは・・・


その男性Xは、気に入らないことがあるとすぐにでも暴力をふるうような性格だったのです。A子さんも時々、ちょっとしたことでXから暴力を受けることがありました。

そんな状況に耐えられなくなったA子さんは、ついにXと別れることを決意しました。なんとか話し合いで別れることができたA子さんですが、それ以降、そのA子さんの頭の中には「イケメン=ひどい人」という固定観念が出来上がってしまいました。

そして、その後はイケメンを見る度に嫌悪感を抱いてしまうようになり、異性を見る時もあまりイケメンではない人に好意を抱くようになりましたとさ。


…と、単純かつ極端な例ですが、日常の恋愛の場面における“アンカリング効果”とはこんな感じです。

「イケメンに暴力を振るわれた」という過去の事実が強く印象に残っており、そこから「イケメン=ひどい人」という基準が出来上がってしまって、その後の判断にも影響を及ぼしている(その後はイケメンではない人に好意を抱いている)のです。

そもそも、アンカリングとは「anchor + ing」ですが、この「anchor」とは錨(いかり)のことです。船を水上で繋ぎとめておくための鎖ですね。船に錨をつなぐと、船は錨に繋がれた範囲内しか動けないことになります。

上の例ではこれと同じように、A子さんは一つの基準点(イケメン=ひどい人)の範囲内でしか物事を判断できなくなっています。それゆえ、この心理傾向が錨(アンカー)に喩えられるようになり、“アンカリング効果”と名づけられるに至ったのです。


アンカリング効果を利用したビジネス手法


では、このアンカリング効果はビジネスの場面ではどのように利用されているのでしょうか?

最も典型的なのが、下のような感じです。

通常販売価格 30000円 ⇒ 特別先行販売価格 17500円」

このように、販売する商品に対して、左側に30000円という額を提示しておき、それを二重線などで消し、右側にそれより低い額を提示するのです。これによって、顧客は30000円を基準(アンカー)に考えて「12500円も値引きされている!安い!」と判断してしまうのです。

冷静に考えれば、17500円でも人によっては大金です。また、その商品の性能を落ち着いて考えてみれば、10000円くらいが相場であると判断するかもしれません。

しかし、この値段表記による“アンカリング効果”によって「安い!」「売り切れる前に買わなくては!」という心理が生まれ、その商品に対する合理的判断を欠いてしまうことが多いです。その結果つい衝動買いしてしまうということがあるのです。

一応、これに関してはもはや多くの店が使っている常套手段ではあります。しかし、それでも顧客に対して商品購入のお得感を出す上では、依然として有効性の高いビジネス手法になります。